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臭いけど不可欠な存在──これがシブ札です!


近年でこそ、荷物にIDを与えて発送状況などが判るシステムが当たり前になっていますが、和装業界では昔から、どこの職人(または工房)がどこに発注したのかが判るよう、「シブ札(しぶふだ)」と呼ばれる小さな紙片が生地に取り付けられています。

シブ札 は、柿のシブから採取した成分を和紙に浸透させたものです。柿シブには耐久性や防虫の効果があり、製造工程で揮発薬品や水に浸けられたり、高温の蒸気を当てられたりしても破損しないようなものでないと役に立ちません。
外注先から戻ってきたときのシブ札は、まるでガーゼのようにふにゃふにゃになっていますが、それでもしっかり名札の役割を果たしてくれています。

凛で使っているシブ札の画像を交えながら、シブ札の解説をしてみましょう‥‥。


シブ札の使い方(笑)

左が、印刷屋さんに頼んで出来上がったばかりのシブ札くんです。
三角形の上半分ほどをこより状に撚って、生地に取り付けます。

なぜ、上にも小さく「凛」の文字が入っているかは、のちほど説明しますネ。


キセちゃん式

オケちゃん式(真ん中にシュッとなってないとイヤやねん/本人談)
上の2つは、キセちゃんとオケちゃんがそれぞれ撚ったもの。
職人によって、折り方にもこだわりがあるんです(別に仲悪くないですよ!)


わー、かわいそうな姿に‥‥

過酷な工程を通り抜けると、シブ札くんはこんな姿になってしまいます‥‥。

このケースでは、漂白工程があったので、シブのうす茶色もすっかり抜けてしまい、そのあと通った染色工程で使われた染料が浸みています。

それでも、凛から発注したということはシッカリ判りますよね。大したタフガイです(笑)。


さて‥‥ではここで先ほど保留にしていた問題。


なぜ、凛の文字が上半分にも入っているのでしょうか?

それは、こんなに過酷な工程があると、時にはシブ札がちぎれたりすることもあるからです。
下の本札がちぎれても、こよりにしてしっかり結びつけた部分に名前が残っていれば、それが名札になってくれるのです。

リスクマネジメントも配慮された伝統的なこのシブ札、なかなかすごいアイデアだと思いませんか?

 




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