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工業技術の進歩、大量生産などの流れとともに、きものづくりの背景も変わってきています。そのひとつに、化学薬品の発展があります。描画、シミ抜きなど、多くの行程で、旧来では存在しなかった化学薬品を使った加工が一般化しています。
ダックは、フッ素系の化学薬品で、「着色防染剤」と呼ばれます。この「ダック」を染料に混ぜて描画し、そのあと「蒸し」を行うと、あとからいくら染料を乗せても、ダック部分は染まらないという、強靱でガンコ(笑)な特徴を持っています。この特徴を生かして、「伏せ」(糊やバインダと呼ばれる樹脂で柄部分を覆って、染料を通さないようにする加工)を省略するという生産性アップの目的で使われています。
ところが、染料を通さないとなると、地色の染め方に関しても工夫が必要になってきます。生地のオモテ側から地染めをしても、ダック部分ではじかれた染料がムラになるなどして、キレイに染まりません。そこで、ダックで描画したものは、生地の裏側から染料を浸透させ、オモテ側に色を出す、という染色方法が採られています。
文章で書くとややこしいので、イラストで解説してみました。
丸い部分が、ダックで描いた柄だと思ってください(^_^)
生地のオモテ側に、ダックで染めた柄が乗っています。ただし、この上(オモテ側)から染料を乗せると‥‥ |
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柄のところで染料がはじかれてしまいます(;_;) これではキレイに染まらないのです‥‥。 |
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なので、ダックで描画した品物は、左のように、染料をウラ側から染料を浸透させます。 ダック製品の地色は、生地のウラ側からしみ出た色で表現されているのです。 |